スマートフォン販売に大きな影響を与えた「改正電気通信事業法」。
すでにスマホ契約したときに端末代と回線利用料がきっちり分けられてしまい、以前ほど安く端末が手に入らなくなったことで実感されている人も多いのでは?
そしてこの「改正電気通信事業法」はWiMAX業界にも大きな影響を与えています。
そこでこの法案のWiMAX契約への影響をわかりやすく解説していきます。
改正電気通信事業法はどんな内容?
まずは改正電気通信事業法をわかりやすく解説
総務省が何度も3大キャリアに通信量安くしなさいと要求していたものの、なかなか応じなかったことから定められてしまった法律と言えます。
通信費を安くして国民にいい顔したかったってのもあるでしょうね。
で、改正電気通信事業法は、
- 端末と回線を分離すること
- 過剰な囲い込みを禁止すること
- 代理店届出制度の導入
の3つが重要なポイントとなっています。
ほか勧誘のやり方についての言及もありますが、WiMAXにはあまり関係ないので割愛します。
①「端末と回線を分離すること」のポイント
これまで現在通信事業者が積極的に行ってきた通信利用量からの端末代割引がNGとなります。
いままでは割引制度や端末購入と同時に回線契約することで、スマホ本体代の大幅割引が当たり前に行われてきました。
でも完全に別扱いにしなければいけなくなり、スマホ代の過剰な割引ができなくなってしまいました。
②「過剰な囲い込みを禁止すること」のポイント
①のスマホ本体代大幅割引は長期契約を条件にしていたため、多少ユーザーへ利益を還元しても十分回収できていたわけですね。
それがこの改正電気通信事業法によって縛り期間&高い解約違約金によるユーザーの囲い込みができなくなったこと、さらに高額キャッシュバックなどでもできなくなりました。
それまでツイッターなどを見ると毎週のように「〇万円キャッシュバック」「端末0円」「一括0円」といったツイートを見かけましたが、この法によりキャッシュバックは最大2万円までしか出せなくなり、ポイントなどを含めてもトータル2万円以上の還元ができない仕組みになっています。
ドコモ・au・ソフトバンクなどのキャリアショップ(といってもほとんどが代理店なので実態は別の事業者)も、わかりやすい特典で契約を獲れなくなったわけですね。
ある意味健全な状況と言えますが、ユーザーからすればノートパソコンが買えるような高額なスマホ代を負担することになりメリットはイマイチ感じられていないのではないでしょうか。
③「代理店届出制度の導入」のポイント
2019年10月1日から代理店は届け出が必須になりました。
これは行政側が監視しやすくする制度ですね。
届け出なしに営業すればこんな罰則もあります↓
今までのキャリアは、国が「キャリア儲けすぎ!通信量もっと安くできるやろ!安くせい!」と要求しても、「代理店が勝手にやってるだけでウチ関係ないよ~」と逃げていたわけですが、この日以降は代理店の状況も把握されてしまうわけです。
これではキャッシュバックを改正電気通信事業法で定められた「2万円」以上出すことも、それ以上の割引特典で客を獲得することもできません。
また「キャリアもきっちり代理店を指導しなさい」とも書かれているため、さすがに逃げ道はなさそうです。
改正電気通信事業法はWiMAX業界にどんな影響がある?
総務省が公開している資料にはしっかりとWiMAX運営元の「UQコミュニケーションズ」が載っています↓
このことから改正電気通信事業法はスマートフォンなどの携帯電話通信事業者だけでなく、WiMAXを提供するWi-Fiルーター事業者にも大きな影響を与えました。
一般的にWiMAXは通信回線に対する先行投資が非常に大きいため、その契約期間が2年ないし3年と決められていることがほとんどでした。
しかし改正電気通信事業法では過剰な囲い込みを禁止することから、基本的には契約期間が長期にわたる場合にはこれを認めない方針となっています。
また長期契約を結んだ場合であっても、その違約金がいままでのように高額ではなく、それまでの利益や利用者が受けたサービスの対価に相応する分となるよう定められているため、安い解約違約金に設定することを求められます。
これにより、WiMAX事業者はこれまでのような携帯電話会社に対する競争から利用料金を安くすると言う戦略ができなくなってしまう可能性があり、結果的に現在よりもその利用料金が高額となってしまう恐れがあるのです。
さらに新たな電気通信事業法では、回線と端末を分離するように定められているため、これまでのような端末を同時に購入する場合の料金を極端に安く設定するといったサービスの提供が非常に困難になります。
現在では多くの通信会社が端末購入時の費用を分割化し、またその費用に相当する分を通信料金から値引くといった手段により、長期契約を行う前提で端末の実質無料化を行ってきた経緯があります。
が、これを明確に分割し相互のサービスの関連性をなくすことが定められているため、一部WiMAX業者では料金体系が大幅に変更されました。
WiMAXは基本的にはこれまでの電話回線とは異なり、新たな通信回線を利用して広帯域のサービスを提供しているものです。
そのためそのコストを回収するためには安定的な収入を得る必要があり、これが長期契約を行う理由となっていました。
またルーターなどの接続端末を長期に貸与することで端末のレンタル料の収益も確保する場合が多かったのですが、今回の改正電気通信事業法では回線と端末の分離が非常に重要な課題となっているため、レンタルであってもルーターを無償で提供することは非常に大きな問題となってしまうのです。
現状は従っていないWiMAXプロバイダも多い
過剰な特典・長期縛り契約ありのWiMAX業者はまだあります
2020年に入ってからも、
- キャッシュバック2万円以上
- 3年の長期縛り契約
で運営を続けているWiMAXプロバイダがあります。
キャッシュバックに関しては2万以下にするところがほとんどになりましたが、それでも業界最高額のキャッシュバックで快進撃を続けてきた「GMOとくとくBB WiMAX2+」という業者は2万円以上出しています。
(記事投稿時点)
また、3年縛り契約についてはまだまだ多くのWiMAXプロバイダで採用されています。
スマホの3大キャリアほど大きな儲けを出していないので行政側の指導もそこまで厳しくないのかもしれませんが、WiMAX業界も将来的に改正電気通信事業法に則った契約プランになっていくのでは?と思われます。
回線セット契約で端末0円のWiMAX業者も多い
改正電気通信事業法では「回線と端末の分離」の観点からはそれぞれが独立して提供されなければならないサービスと定義されているため、スマホキャリアのように別売する必要があります。
この影響で2019年10月より、WiMAX運営元の「UQ WiMAX」を始め、家電量販店などで端末割引がなくなり、SIMカードのみのプランも導入されました。
なんですが、WiMAX業者の多くはいまだに端末0円で長期契約を続けているのが現状です。
2019年10月からかなり経過していてまだ続いているということは、行政側から警告的なメッセージがでていないのかもしれません。
またスマホ業界に比べると件数も少ないため見逃されているのかもしれませんね。
まとめ
改正電気通信事業法の内容をわかりやすくまとめました。
ドコモ・au・ソフトバンクの3大キャリアは改正電気通信事業法が施行される以前から再三にわたり注意があったにもかかわらず、代理店制度を活用して逃れてきていました。
が、この制度によってそれもできなくなり、その影響がWiMAX業界にも波及しています。
現状はまだ改正電気通信事業法の示す範囲を超えたサービスを提供しているプロバイダも多いのですが、それがいつまで続けられるかは全くわかりません。
スマホ業界も以前より割安なプランは浸透してきていますが端末代が高くなっただけと感じている人もいるようですし、WiMAX業界も結果的に割高になってしまわないことを願いたいですね。